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A breast support device for radiation therapy includes a cuplike body with a through aperture. The cuplike body has a base portion and a compression portion connected continuously forming a concave inner surface, the compression portion is extended from the base portion, the concave inner surface have contours that fit over the female patient's breast as patient been in a predetermined posture. The through aperture is formed on the cuplike body to receive a portion of the female patient's breast through, it has a contour curve defined by a cutting plane and the contours of the patient's breast.
公報種類 | 特許公報(B2) | 申請日 | 20180213 | 公告日 | 20200311 | 申請號 | JP2018022913 | 公告號 | JP6662930B2 公開 JP2018167020A | 申請人 | 台北醫學大學; 國立台北科技大學 | 發明人 | 呂隆昇; 曽國雄; 田徳之; 鍾孟雲 | 代理人 | 八田国際特許業務法人; ▲吉▼川 俊雄; 市川 寛奈 | 審查委員 | 安田 昌司 | 優先權 | US 62/458,214 20170213; US 15/841,377 20171214 | 引用專利 | JP2010-510005A; WO2016/104654A1; US05769779A; JP2014-511441A; US2009/0264968A1 | IPC | A61N 5/10(2006.01); A61B 90/17(2016.01) | CPC | A61N 5/10(2013.01); A61N 5/103(2013.01); A61N 2005/1092(2013.01); A61N 2005/1097(2013.01); A61B 90/17(2016.02); A61F 5/03(2013.01); A61N 2005/1097(2013.01); A61N 5/1001(2013.01); A61G 13/122(2013.01); A61N 2005/1097(2013.01); A61N 2005/1094(2013.01); A61N 5/10(2013.01); A61F 5/03(2013.01); A61N 2005/1096(2013.01); A61N 2005/1094(2013.01); A61N 2005/1097(2013.01); A61B 90/17(2016.02) | FI | A61N5/10 M; A61N5/10 S; A61B90/17 | 類別碼 | B2 |
1.乳癌の放射線治療用補助具であって, 基部と,当該基部に接続されて凹陥した内表面を形成するとともに,貫通孔を備える圧縮部と,を備えるカップ体を有し, 前記凹陥した内表面は,患者の乳房の形状と一致する輪郭を有し, 前記貫通孔は,切断平面と前記輪郭により定義される輪郭線を有し, 当該補助具は,仰向け姿勢状態の前記患者の前記乳房に装着されたとき,前記圧縮部が前記患者の前記乳房の底部を押圧することで前記患者の前記乳房の一部を前記貫通孔を介して当該補助具の外部へ押し出すことによって,前記患者の前記乳房上に位置する基準点と前記患者の心臓との間の最小距離を大きくする,乳癌の放射線治療用補助具。
2.前記貫通孔の前記輪郭線を定義する前記輪郭は,前記患者の胴体のうち背中部分が垂直軸線Yに対して角度αを形成するよう,前記患者が両腕を頭部に向けて伸ばした状態で胴体を前屈させた姿勢をとった際における,前記患者の前記乳房の形状に基づいて形成されている,請求項1に記載の乳癌の放射線治療用補助具。
3.前記角度αは,30~60度の範囲である,請求項2に記載の乳癌の放射線治療用補助具。
4.前記垂直軸線Yは床の法線方向に対し平行である,請求項2に記載の乳癌の放射線治療用補助具。
5.当該補助具は,3Dモデルに基づいて形成されており, 前記3Dモデルは,前記患者の前記乳房の前記輪郭と前記患者の胸部の輪郭に基づいて構築されており, 前記3Dモデルは,底部と,基部と,圧縮部と,先端部と,を含み, 前記3Dモデルの前記底部は,前記3Dモデルの前記基部に接続されるとともに前記基部を囲繞しており, 前記3Dモデルの前記圧縮部と前記3Dモデルの前記先端部とによって前記乳房の前記輪郭が形成されており, 前記3Dモデルの前記底部と前記3Dモデルの前記基部とによって,前記乳房に隣接する前記胸部の前記輪郭が形成されている,請求項1に記載の乳癌の放射線治療用補助具。
6.前記貫通孔を定義する前記切断面は, 前記3Dモデルが切断されるよう前記3Dモデルの前記圧縮部と前記3Dモデルの前記先端部との間に横向きに設定され,かつ, 前記3Dモデルの軸方向に対して垂直であるか,又は前記3Dモデルの前記軸方向に対して90°~180°の角度を有する,請求項5に記載の乳癌の放射線治療用補助具。
7.前記カップ体は,前記圧縮部に位置する複数の滑り止めベルト孔を更に含み,前記滑り止めベルト孔に通される滑り止めベルトによって当該補助具を支持するようアシストする,請求項1に記載の乳癌の放射線治療用補助具。
8.前記カップ体は,前記基部に位置する複数の固定ベルト孔を更に含み,前記固定ベルト孔に通される固定ベルトによって,前記患者の胴体に対する当該補助具の固定をアシストする,請求項1に記載の乳癌の放射線治療用補助具。 【0001】 本発明は医療用補助具に関し,特に,乳癌の放射線治療用補助具に関する。
【0002】 現在,乳癌の治療にあたってはいくつかの選択肢があるが,通常は手術で癌細胞を切除してから,後続の治療手段として化学療法(chemotherapy)又は放射線治療(radiation therapy)を実施する。放射線治療は,乳癌手術後に乳房内部に残留した癌細胞に的を絞った治療を可能とするもので,癌細胞を効果的に死滅させられる方法である。放射線治療はほかの治療法と比べて耐性に優れ,副作用も患者の治療部位に限定される。
【0003】 外部の放射線源を乳房内の癌細胞を壊滅させる手段として利用することが,放射線治療では一般的となっている。このような治療法では,放射線源(通常,放射線源は体外の機器,例えば線型加速器により発生)によって放射線(radiation beam)を患者の乳房のうち癌細胞を有する領域に伝送することで放射線治療を実施する。放射線の入射角度及び投与量の設定については,放射線治療に先立ち,放射線治療計画システムで詳細に測定した後に決定される。また,患者の皮膚にマーキングした記号を放射線治療時の放射線の焦点又は治療領域の案内マークとして用いる。大部分の放射線治療は,患者を仰向け(supine position)姿勢にして実施する。即ち,患者の顔部と胴体を上に向けて水平に横たわらせた,うつ伏せ(prone position)とは逆の姿勢で実施する。
【0004】 図1Aは,女性患者1が放射線治療を受ける際にとる仰向け(supine position)姿勢を示す。患者が仰向け姿勢になると,乳房11(又は乳房組織)内に位置するターゲット領域111(癌細胞を有する領域)が重力によって下方に引っ張られるため,放射線が心臓12や肺13といった近傍の器官に照射されやすく,ひいてはこれら(心臓12や肺13)を損傷させてしまう。
【0005】 放射線治療時に患者の心臓12や肺13に放射線が照射されないようにするには,図1Bを参照して,患者を放射線治療時にうつ伏せ姿勢(prone position)とするのが一般的である。しかし,うつ伏せ姿勢で放射線治療を行うと,患者の乳房のうち治療を必要としない側が圧迫され,患者に不快感を与えてしまう。また,患者をうつ伏せ姿勢にして放射線治療を実施する場合,治療機器の設定や治療時の前段階作業が仰向けで放射線治療を実施する場合に比べて繁雑となる。
【0006】 通常,患者の心臓12及び肺13に対する放射線通過リスクを低減させるためには,患者をうつ伏せにして放射線治療を実施することが考えられる。しかし,この場合にもリスクや欠点は残ってしまう。これは,患者にうつ伏せ姿勢をとらせて放射線治療を行った場合,患者の心臓12や肺13が重力により下方に引っ張られ,ターゲット領域111に過度に近接する可能性があるためである。
【0007】 患者が仰向け姿勢をとると乳房11はひしゃげ,乳房11上の基準点Mから心臓12までの最小距離はX1と測定される。なお,前記基準点Mは患者の乳房11上にマーキングされる任意の点である。これに対し,患者がうつ伏せ姿勢をとると,乳房11上の基準点Mから心臓12までの最小距離はX2と測定される。通常,距離X2は距離X1とほぼ同じか距離X1よりも大きくなるが,距離X2と距離X1に明らかな差は存在しない。これは,患者がうつ伏せ姿勢をとった場合,患者の心臓12,肺13及び乳房11がいずれも重力方向に下方へと引っ張られるからである。そのため,患者をうつ伏せ姿勢にして放射線治療を実施したとしても,仰向け姿勢の場合と比べて,患者の乳房組織と心臓12及び肺13との距離を想定したほどには拡大できない。特に,患者の乳癌細胞が乳房11内部に位置する場合には,うつ伏せ姿勢で放射線治療を行うことに目立ったメリットはない。
【0008】 患者はうつ伏せ姿勢で放射線治療を受ける場合,開口を備えた診療台上で下向きに伏せ,乳癌を罹患している側の乳房を前記開口に通す必要がある。ところが,もう一方の健康で放射線治療を要さない乳房については診療台上で圧迫されることから,患者が不快に感じる場合がある。一方,仰向け姿勢での放射線治療を考慮する場合には,治療機器の設定や治療時の前段階作業が比較的容易となり,且つ,患者自身も放射線治療過程を比較的快適に過ごせる。しかし,上述したように,患者が放射線治療時に乳癌の放射線治療用補助具をなんら装着していない場合には,患者にどのような姿勢をとらせて放射線治療を実施したとしても,癌細胞を有するターゲット領域は心臓や肺といった患者の周辺器官に過度に近接してしまう。こうした状況で放射線治療を受けると,患者の心臓や肺の一部が放射線治療時に放射線の進行経路上に位置することから,患者の心臓や肺が放射線照射を受けてしまう。そして,放射線照射にさらされた場合,患者の心臓や肺,或いは近傍の器官/組織に損傷が生じる恐れがある。
【0009】 本発明は,上記の放射線治療時に発生する様々な欠点に対し,これらを解消するための乳癌の放射線治療用補助具を提供する。
【0010】 本発明は,開口を有するカップ体を含む乳癌の放射線治療用補助具を開示する。カップ体は基部及び圧縮部を備え,内側に凹陥する内表面が連続的に接続されるよう形成されている。前記圧縮部は基部から延伸してなり,前記内側に凹陥する内表面は,女性患者が所定の姿勢をとった際の乳房形状と一致する輪郭を有する。前記開口は,前記女性患者の乳房の一部が通されるよう前記圧縮部の上半部に形成されるとともに,切断平面と患者の乳房の輪郭により定義される輪郭線を有する。
【0011】 本発明によれば,前記乳癌の放射線治療用補助具は,女性乳癌患者が仰向け姿勢で放射線治療を受ける際に女性患者の乳房を支持することが可能である。前記補助具を装着すると女性患者の乳房が支持されるため,女性患者の乳房内部に位置する癌細胞を有するターゲット領域の位置が,患者の心臓や肺から離開するよう維持される。そのため,患者の心臓や肺が放射線照射を受ける確率を最小限まで低下させられる。
【0012】 以下に,本発明が十分に理解されるよう,本発明の詳細及び実施例を示す図について説明する。ただし,これらは本発明の応用を理解するための参照用にすぎず,本発明を特定の実施例に限定するものではないと解釈すべきである。
【0013】 図1Aは,従来技術において女性患者が仰向け姿勢をとる場合を示す図である。 図1Bは,従来技術において女性患者がうつ伏せ姿勢をとる場合を示す図である。 図2は,本発明の一実施例における乳癌の放射線治療用補助具の平面図を示す。 図3Aは,本発明の他の実施例における乳癌の放射線治療用補助具の平面図を示す。 図3Bは,本発明の他の実施例における乳癌の放射線治療用補助具の平面図を示す。 図4は,本発明の一実施例における乳癌の放射線治療用補助具の底面図を示す。 図5は,本発明の他の実施例における乳癌の放射線治療用補助具の底面図を示す。 図6は,本発明において女性患者が乳癌の放射線治療用補助具を装着した場合を示す図である。 図7は,本発明における乳癌の放射線治療用補助具モデルを形成するためのモデル処理システムのブロック図を示す。 図8は,本発明における乳癌の放射線治療用補助具モデルを形成するステップのフローチャートを示す。 図9は,本発明において乳癌の放射線治療用補助具を形成すべく,女性患者が所定の姿勢で3Dスキャン装置によりスキャンされる場合を示す図である。 図10A~Gは,本発明の一実施例における図8記載のステップの一段階に対応して生成される乳癌の放射線治療用補助具モデルを示す。 図11Aは,本発明の一実施例において処理される乳癌の放射線治療用補助具の3Dモデルの断面図を示す。 図11Bは,本発明の一実施例において処理される乳癌の放射線治療用補助具の3Dモデルの断面図を示す。 図11Cは,本発明の一実施例において処理される乳癌の放射線治療用補助具の3Dモデルの断面図を示す。 図12は,女性患者の心臓吸収線量を測定した折れ線グラフであり,女性患者が本発明における乳癌の放射線治療用補助具を装着した場合/していない場合に測定したデータを示す。
【0014】 ここで,本発明の具体的実施例及び視点について詳細に記載する。なお,これらの記載は本発明の構造又はステップのフローを解釈し,説明するためのものであって,本発明の請求の範囲を限定するものではない。よって,明細書内の具体的実施例及び好ましい実施例以外にも,本発明はその他の異なる実施例において幅広く実行可能である。以下では特定の具体的実施例を挙げて本発明の実施形態につき説明するが,当業者であれば,本明細書に開示の内容から本発明の効果及び利点を容易に理解可能である。また,本発明はその他具体的実施例での運用及び実施も可能である。本明細書で記載する各詳細事項は必要に応じて適用すればよく,且つ,本発明の主旨から逸脱しないことを前提に,各種の異なる補足又は変更が可能である。
【0015】 図2は,本発明の一実施例における乳癌の放射線治療用補助具2aの平面図を示す。前記補助具2aはカップ体21を含み,カップ体21は基部212及び圧縮部211からなる。圧縮部211は基部212に接続されており,且つ,基部212からカップ体21の軸方向Daに沿って延伸している。軸方向Daは,図2を上方から見た平面に垂直な方向,或いは基部212の法線と平行な方向と定義される。カップ体21は3Dプリントに適した材料,例えば,ポリ乳酸(Polylactic Acid),アクリルニトリル.ブタジエン.スチレン(Acrylonitrile Butadiene Styrene),熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomer),透明熱可塑性エラストマー(Transparent Thermoplastic Elastomer)又はその他類似の材料で作製されるが,これらに限らない。カップ体21は女性の乳房を支持するために,比較的堅固(圧縮及び胸型形成が可能な程度に堅固)な材料,例えば,ポリ乳酸(Polylactic Acid),アクリルニトリル.ブタジエン.スチレン(Acrylonitrile Butadiene Styrene),熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomer),又は透明熱可塑性エラストマー(Transparent Thermoplastic Elastomer)等の材料を含む。また,カップ体21は,例えば,治療時に発生する応力,範囲450~700kgの外力,範囲4~7kg/mm2の張力強度に耐え得るだけの伸張特性,約1~4kg/mm2の引張強さ,及び範囲490~500%の引張率といった機械特性を有する。
【0016】 基部212と圧縮部211は,約2~15mmの範囲の厚さを有する。好ましい実施例において,基部212と圧縮部211の厚さは約3~10mmである。貫通孔(第1開口)221は,切断平面(cutting plane),即ち第1切断面220でアシストしつつ圧縮部211を部分的に除去することで形成される。環状表面220sの寸法であるWcsは,貫通孔(第1開口)の位置及び圧縮部211における外表面211sの形状に応じて変化させればよい。患者の身体的特徴によって,貫通孔(第1開口)221の寸法は3~45cmとすればよい。乳癌の放射線治療用補助具2aのうち貫通孔(第1開口)221とは反対側の面には第2開口231が形成されている。第2開口231の寸法は,乳癌の放射線治療用補助具2aの大きさにより略決定される。上記の貫通孔(第1開口)221とは,圧縮部211の一部を除去することで形成される開口をいう。開口の形状は,女性患者の乳房の各種断面における閉鎖環の一つであるが,閉鎖環は必ずしも円形であるとは限らない。
【0017】 乳癌の放射線治療用補助具2aは,通常は女性患者の乳房の輪郭と一致する内表面を有する。前記貫通孔(第1開口)221の位置は,大まかにいえば図2に示す距離WmsとWmaにより定義される。このうち,Wmsとは,環状表面220sの外側の輪郭と補助具2aの胸骨側(midsternal side)2121に位置する辺縁との最短距離をいう。また,Wmaとは,環状表面220sの外側の輪郭と補助具2aの腋窩線側(midaxially side)2122の辺縁との最短距離をいう。乳房の輪郭とは乳房の形状のことであり,特に,乳房の外縁に形成される表面又は形状のことである。女性患者の乳房により形成される画像情報(3Dスキャン装置によって女性患者の乳房をスキャンして得られる画像としてもよい)には,3Dモデルの構築に使用可能な女性患者の乳房についての幾何データが含まれている。そこで,一例を挙げると,スキャン装置で撮影した3Dモデルや画像には複数の曲線が含まれている。各曲線は高さ或いは深さの等しい点から構成されるが,各曲線の高さ或いは深さを他の曲線の高さ或いは深さとは異ならせることで,乳房形状の高低領域が表される。また,より広義に定義される別の例では,任意の角度Θを有する複数の平行な平面から複数の曲線を定義可能であり,各平面により前記3Dモデルが切断される。角度Θは,平行な平面の法線と前記3Dモデルの軸線により定義され,0~90度の範囲とすればよい。
【0018】 図2に示すように,乳癌の放射線治療用補助具2aは複数の固定ベルト孔222,223,224及び225を更に含み,固定ベルトを固定ベルト孔に通すことで,補助具を患者の体に固定可能となる。固定ベルト孔222及び223は基部212の胸骨側2121寄りに位置し,固定ベルト孔224及び225は基部212の腋窩線2122側に位置する。即ち,乳癌の放射線治療用補助具2aが女性患者の左側の乳房11に装着される場合(図6参照),固定ベルト孔224及び225は女性患者の胸前方又は胴体の外側寄りに位置し,固定ベルト孔222及び223は女性患者の胸前方又は胴体中央寄りに位置する。
【0019】 このほか,乳癌の放射線治療用補助具2aが装着されると,固定ベルト孔222及び224は女性患者の胸前方上半部寄りに位置し,固定ベルト孔223及び225は女性患者の胸前方下半部寄りに位置する。固定ベルト,サスペンダー,止め輪,或いはその他類似の機能部品が固定ベルト孔222,224に通されるとともに,固定ベルト,サスペンダー,止め輪或いはその他類似の機能部品が固定ベルト孔223,225にも同様に通されることで,乳癌の放射線治療用補助具2aを患者の胸前方に固定可能となる。
【0020】 図3Aは,乳癌の放射線治療用補助具2bの平面図を示す。乳癌の放射線治療用補助具2bは,滑り止め固定ベルトを通すことが可能な複数の滑り止め固定ベルト孔226及び227を更に含む点を除き,図2に示した補助具と類似している。滑り止め固定ベルト孔226及び227は,補助具2bの圧縮部211に位置している。
【0021】 2つの滑り止め固定ベルト孔226及び227は,それぞれ固定ベルト孔224及び225に隣接している。また,滑り止め固定ベルト孔226及び227は,基部212の腋窩線側2122に隣接している。乳癌の放射線治療用補助具2bが女性患者の左側の乳房11に装着されると,滑り止め固定ベルト孔226及び227は患者の胸前方外側に近接する(図6参照)。固定ベルト,サスペンダー,止め輪,又はその他類似の機能部品を滑り止め固定ベルト孔226,227に通すことで,患者の乳房11を放射線治療用補助具2bに固定するにあたりアシスト可能となる。
【0022】 図3Bは,本発明の他の実施例における乳癌の放射線治療用補助具2bの平面図を示す。2つの補足固定ベルト241,242が追加され,且つ滑り止めベルト25が締結されていることを除き,当該補助具は図3Aに示した乳癌の放射線治療用補助具2bと同様の構造を有する。このうち,滑り止めベルト25は,補助具2bに対する患者の乳房11の固定をアシストするものである。
【0023】 このほか,乳癌の放射線治療用補助具2bが女性患者1に装着された場合,腋窩線側の乳房は腋窩の皮膚により引っ張られやすいことから,補助具2bの圧縮部211から容易に抜け落ちてしまう。そこで,腋窩線側2122寄りの滑り止めベルト25によって腋窩線側の乳房の抜け落ちを回避可能としている。
【0024】 図4は,本発明の一実施例における乳癌の放射線治療用補助具2cの底面図であり,補助具2cの内表面側から見た図を示している。本実施例における乳癌の放射線治療用補助具2cは,更に金属-ナノ粒子層31を含む点を除き,上述した補助具と類似の構造を有している。金属-ナノ粒子層31は,前記乳癌の放射線治療用補助具2cの内表面に形成されている。女性患者が乳癌の放射線治療用補助具2cを装着すると,補助具の内表面が女性患者の皮膚に接触する。金属-ナノ粒子層31は無毒であり,人体に吸収されることなく乳房の消毒に適用可能な材料を含有している。好ましい実施例において,金属-ナノ粒子層31は,例えば,金,銀,銅,チタン及びその他の金属又は非金属の粒子を含有可能である。
【0025】 乳癌患者は,一連の放射線治療(患者の状況に応じて通常は10~30回)を必要とする可能性がある。すると,治療のたびに,患者の乳房には例えば放射線治療に起因する皮膚又は乳房組織の炎症といった不調が生じる恐れがある。しかし,金属-ナノ粒子層31によれば,殺菌や,炎症を起こした傷口の回復を加速可能なことから,治療部位の皮膚又は組織の疼痛が軽減される。金属-ナノ粒子層31は,殺菌のために銀金属を含んでもよい。また,金属-ナノ粒子層31は,銀金属層或いは銀化合物から形成されてもよい。好ましい実施例において,金属-ナノ粒子層31は必要性に応じて,金,銅,アルミニウム,チタン等の材料を含んでもよい。
【0026】 図5は,本発明の他の実施例における乳癌の放射線治療用補助具2dの底面図であり,補助具2dの内表面側から見た図を示している。本実施例における乳癌の放射線治療用補助具2dは,放射線強化層32を更に含む点を除き,上記の図4で示した補助具2cと類似の構造を有している。放射線強化層32は,前記乳癌の放射線治療用補助具2cの内表面に形成されており,その内表面が女性患者の皮膚に接触する。
【0027】 放射線強化層32は,金属-ナノ粒子層31と類似の材料を含み,放射線のパワー又は効果を強化可能とする。金属-ナノ粒子層31と放射線強化層32は同じ厚さを有する。このうち,金属-ナノ粒子層31は前記乳癌の放射線治療用補助具2dの内表面に形成されており,患者の乳房のうち健康な組織を被覆可能である。これに対し,放射線強化層32は乳癌の放射線治療用補助具2dの内表面に形成されるとともに,患者の乳癌細胞領域に分布している。特記事項として,放射線強化層32は癌細胞の近傍領域に配置され,金属-ナノ粒子層31は健康細胞を被覆するために用いられる。金属-ナノ粒子層31と放射線強化層32はいずれも非毒性であり,且つ人体には吸収されない。金属-ナノ粒子層31と放射線強化層32のパターン配置は,患者個々の乳癌細胞及び健康細胞の分布状況に応じて補助具2dの内表面に設計すればよい。
【0028】 図6は,本発明において女性患者1が乳癌の放射線治療用補助具2aを装着し,仰向け姿勢で放射線治療を受ける場合を示す図である。乳癌の放射線治療用補助具2aは,乳癌の部位に応じて女性患者の左側又は右側の乳房を支持するために用いられる。好ましい実施例では,前記乳癌の放射線治療用補助具2aは女性患者1の左側の乳房を支持するために用いられる。
【0029】 図6に示すように,女性患者1が乳癌の放射線治療用補助具2aを装着し,仰向け姿勢で放射線治療を受ける場合,女性患者1の一方の乳房11が補助具2aの貫通孔(第1開口)221に通される。第2切断面230が女性患者1の胸前方に接触し,圧縮部211が乳房11の底部を押圧することで,乳房の上半部が補助具2aの外部に押し出される。圧縮部211は,患者の乳房の治療領域から心臓及び肺までの距離を維持するよう乳房を支持可能なことから,重力によって患者の乳房の治療領域が下方に引っ張られることがなくなる。なお,乳房11の底部とは,患者の乳房のうち胸前方寄りの部分をいう。
【0030】 通常,貫通孔(第1開口)221の寸法は凹陥面である第2開口231よりも小さい。
【0031】 ここで,乳癌の放射線治療用補助具2a,2b,2c又は2dを女性患者1に装着したとき,患者の乳房上に位置する基準点Mと患者の心臓との最小距離をX3とする場合を考える。仰向け姿勢をとったとしても,乳癌の放射線治療用補助具2a,2b,2c又は2dは患者の乳房11を良好に支持可能なことから,図6の距離X3は,図1で定義した距離X1やX2よりも大きくなる。そのため,患者の乳房内部に位置する癌細胞を有し且つ放射線治療を要する部位については放射線照射にしっかりと曝しつつ,患者の心臓及び肺とは安全な距離を保つことができる。
【0032】 図7は,本発明における乳癌の放射線治療用補助具モデルを形成するためのモデル処理システムのブロック図を示す。乳癌の放射線治療用補助具2a,2b,2c又は2dは,3Dプリント技術によって製造可能である。3Dプリンタは,乳癌の放射線治療用補助具モデルである3Dモデルに基づいて乳癌の放射線治療用補助具2a,2b,2c又は2dを形成可能である。3Dプリントとは,3次元(3D)オブジェクトを作製するための方法ステップであり,当該オブジェクトは,積層又は硬化によって材料を互いに結合し,コンピュータにて制御することで作製される。3Dプリントモデルは,CADソフトウェアパッケージや3Dスキャナにより生成可能である。3Dスキャンによれば,実物の形状,外表面等に関する電子データが生成されて分析可能となる。そして,3Dスキャンで取得したデータをベースにすることで,スキャンされた物体の3次元コンピュータモデルを生成できる。
【0033】 前記乳癌の放射線治療用補助具モデルは,コンピュータ読み取り可能媒体に蓄積される3Dモデルデータである。前記3Dモデルは,3D座標系における多数の多角形を組み合わせて構築されるが,各多角形は三角形としてもよい。3Dプリンタは,形成された乳癌の放射線治療用補助具モデルを受信して処理することで,3次元の乳癌の放射線治療用補助具2a,2b,2c又は2dをプリント可能である。乳癌の放射線治療用補助具の初期3Dデータは3Dスキャナにより生成可能であるが,詳細なプロセスについては後に述べる。モデル処理システム5は初期3Dモデルを処理することで,3Dプリント用の乳癌の放射線治療用補助具モデルを形成可能である。
【0034】 図7に示すように,モデル処理システム5は,処理モジュール51,蓄積モジュール52,3Dモデル生成モジュール53,底部除去モジュール54,及び先端部除去モジュール55を含む。
【0035】 前記蓄積モジュール52,3Dモデル生成モジュール53,底部除去モジュール54及び先端部除去モジュール55は,前記処理モジュール51に電気的に接続されている。
【0036】 3Dモデル生成モジュール53は3Dモデルの生成に用いられる。3Dモデルは上述した初期3Dモデルとも称される。初期3Dモデルは3Dスキャン装置により生成されて,蓄積モジュール52に伝送及び蓄積される。即ち,3Dスキャン装置は女性患者の胸部及び乳房の画像を取得するとともに,これに基づき3Dモデルを構築する。処理モジュール51は初期3Dモデルを読み込むとともに,初期3Dモデルに基づいて3Dモデルを生成するよう3Dモデル生成モジュール53を制御する。3Dモデルは,乳癌の放射線治療用補助具モデルを形成するよう更に処理される。
【0037】 3Dモデルは,対応する女性患者の乳房及び胸部の輪郭とみなされる部分である底部,基部,圧縮部及び先端部を含む。圧縮部は基部と先端部の間に接続され,底部は基部に接続されるとともに基部を囲繞している。圧縮部と先端部の双方によって乳房の輪郭が形成され,底部と基部の双方によって胸前方の輪郭が形成される。基部及び圧縮部は,乳癌の放射線治療用補助具2a,2b,2c及び2dの基部212及び圧縮部211のことである。
【0038】 先端部除去モジュール55は,先端部を除去して貫通孔(第1開口)及び第1切断面を形成する。先端部除去モジュール55は切断平面(図示しない)を予め定義しておく。切断平面は,3Dモデルが切断されるよう圧縮部と先端部の間に横向きに配置される(transverse arrangement)。上述したように,切断平面は3Dモデルの軸方向に対し垂直でもよいし,軸方向に対して90度~180度の角度を有してもよい。先端部除去モジュール55は,切断平面に基づいて先端部を除去する。第1切断面は共面であり,且つ,切断平面と第1切断面は重畳している。
【0039】 一部実施例では,3Dモデルは更に圧縮部から先端部に至る軸方向において最大曲率を定義する特定点(例えば切断点)を含み,切断平面が切断点を通過する。或いは,3Dモデルは移行領域を含む。移行領域は,圧縮部の一部と先端部が隣接し合う部分によって定義される。
【0040】 圧縮部から先端部に至る軸方向において定義される移行領域上の任意の点の曲率は,前記軸方向において定義される移行領域外部の任意の点の曲率よりも大きい。
【0041】 一部実施例では,圧縮部及び先端部における任意の点と比較して,移行領域上の少なくとも1つの点は軸方向において最大曲率を有する。移行領域の軸方向における曲率は,最大曲率に等しいか,或いは最大曲率の90%以上である。例えば,移行領域上の点は軸方向における最小曲率を有することが可能であるが,移行領域上の軸方向における任意の点と比較して,移行領域上の点の最小曲率は最大曲率よりも10%小さい。
【0042】 このほか,モデル処理システム5は,底部除去モジュール54,硬化モジュール56,滑り止めベルト孔形成モジュール57,固定ベルト孔形成モジュール58及び出力モジュール59を更に含む。これらは処理モジュール51に電気的に接続されて制御される。
【0043】 底部除去モジュール54は3Dモデルを処理して底部を除去し,第2切断面及び第2開口を形成する。第2切断面は基部のうち圧縮部から離開する底部に位置し,第2開口は第2切断面に囲繞されている。第2切断面と第2開口は,乳癌の放射線治療用補助具2a,2b,2c及び2dの第2切断面230及び第2開口231とも称される。
【0044】 硬化モジュール56は3Dモデルを処理し,押圧(引張)によって圧縮部と基部を硬化させる。好ましい実施例において,硬化モジュール56は,3Dモデルの内表面の法線方向に圧縮部と基部を押圧することで所望の設計厚さを形成する。所望の設計厚さとは,乳癌の放射線治療用補助具2a,2b,2c及び2dの圧縮部211及び基部212の実際の厚さのことをいう。設計厚さと実際の厚さは,3~10mmの範囲とすればよい。即ち,硬化モジュール56は,3Dモデルの圧縮部及び基部を0mm(初期位置)から-3~-10mmまで押圧すればよい。ここで,マイナス記号(-)は,押圧の方向が3Dモデルの内部に向かうことを表す。
【0045】 一部実施例において,硬化モジュール56は,3Dモデルの圧縮部と基部を-0.1cm(偏移位置)から-0.6cmまで押圧すればよい。この場合,硬化モジュール56は,圧縮部と基部を内側に0.1cm偏移(収縮)させた後,収縮した圧縮部と基部を内側に押し出すことで3~10mmの厚さを形成する。この場合,3Dモデルにより作製される乳癌の放射線治療用補助具2a,2b,2c及び2dはより小さくなる。ある特定の患者に対しては,小型の乳癌放射線治療用補助具2a,2b,2c及び2dを特別に設計して適用する。例えば,患者が乳房温存手術(BCS)を受けており,且つ乳房の一部(乳房の内部組織)が切除されている場合,更に放射線治療を要する乳房はより緩んだ構造となっている可能性がある。オーダーメイド設計による小型の乳癌放射線治療用補助具2a,2b,2c及び2dは,緩んだ乳房構造を支持するのに適している。
【0046】 滑り止めベルト孔形成モジュール57は3次元(3D)モデルを処理し,補助具の基部に滑り止めベルトを通すための複数の滑り止めベルト孔を形成する。滑り止めベルト孔とは,乳癌の放射線治療用補助具2a,2b,2c及び2dの滑り止め固定ベルト孔226及び227のことである。
【0047】 固定ベルト孔形成モジュール58は3Dモデルを処理し,補助具の基部に固定ベルトを通すための複数の固定ベルト孔を形成する。固定ベルト孔とは,乳癌の放射線治療用補助具2a,2b,2c及び2dの固定ベルト孔222,223,224及び225のことである。
【0048】 モデル処理システム5で3Dモデルを処理すると,処理された3Dモデル(即ち,乳癌の放射線治療用補助具モデル)は,乳癌の放射線治療用補助具2a,2b,2c又は2dに類似した幾何学的構造及び寸法を有する。処理モジュール51は,処理された3Dモデルを蓄積モジュール52に蓄積する。出力モジュール59は,3Dプリントを実行可能な3Dプリント装置6に接続されている。処理モジュール51は,処理された3Dモデルを3Dプリントに用いられる出力モジュール59を通じて3Dプリント装置6に出力し,乳癌の放射線治療用補助具2a,2b,2c又は2dを形成する。
【0049】 図8は,本発明における乳癌の放射線治療用補助具モデルを形成するステップのフローチャートを示す。
【0050】 一実施例において,ステップS401では,医者(又は使用機器)が3Dスキャナを用いて所定の姿勢状態における女性患者の乳房及び胸部をスキャンし,初期スキャンデータ(乳房及び/又は胸部画像)を形成する。本発明によれば,図9に示すように,女性患者1は所定の姿勢で3Dスキャン装置4によりスキャンされる。女性患者1がとり得る姿勢としては,例えば,胴体のうち背中部分が垂直軸線Yに対して角度αを形成するよう,両腕を頭部に向けて伸ばした状態で胴体を前屈させる。ここで,αは約30~90度とすればよい。スキャン装置4(例えば3Dスキャナ)は,医者によって胸部全体を巡るように移動して,女性患者1の胸部(又は胴体)の3D画像情報を収集する。
【0051】 ステップS403において,スキャン装置4は患者の胸部の3Dモデルデータを生成して初期3Dモデルを形成する。初期3Dモデルの3Dモデルデータは,モデル処理システム5に伝送されることで更に処理可能となる。
【0052】 ステップS501において,スキャン装置4により生成された3Dモデルデータを用いて3Dモデルが構築される。また,3Dモデルの形成にあたり,モデル処理システム5によって初期3Dモデルの影や暗い部分,又は欠けを消去するよう修正してもよい。
【0053】 ステップS503において,図7に示すモデル処理システム5の底部除去モジュール54によって,女性患者の3Dモデルの底部,右乳房及び後胸部を除去し,乳癌の放射線治療用補助具の初期3Dモデル33(図10C)を形成する。一部実施例において,乳癌の放射線治療用補助具の初期3Dモデルは更に処理されて,平滑化又は形状修正された3Dモデル34となる(図10D)。
【0054】 ステップS505において,硬化モジュール56は先端部,圧縮部及び基部を引張により硬化することで,硬化した乳癌の放射線治療用補助具の3次元モデル35(図10E)を形成する。他の実施例では,先端部を予め除去してから圧縮部及び基部を硬化すればよい。先端部,圧縮部及び基部は,硬化した乳癌の放射線治療用補助具の3Dモデル35(図10E)における内表面の法線方向に引っ張られることで所望の厚さを形成する。このほか,硬化した乳癌の放射線治療用補助具の3Dモデル35には,第2切断面及び第2開口が形成されている。上述したように,第2切断面は基部のうち圧縮部から離開する底部に位置し,第2開口は第2切断面に囲繞されている。
【0055】 ステップS507において,先端部除去モジュール55は,移行領域350に基づいて先端部を除去し,貫通孔(第1開口)を有する乳癌の放射線治療用補助具の3Dモデル36(図10F)を形成する。
【0056】 ステップS509において,固定ベルト孔生成モジュール58が基部に固定ベルト孔を形成することで,乳癌の放射線治療用補助具の最終3Dモデル37(図10G)が形成される。また,ステップS511において,滑り止めベルト孔形成モジュール57が圧縮部に滑り止めベルト孔を形成してもよい。
【0057】 ステップS513において,出力モジュール59は処理済みの3Dモデル(例えば,3Dモデル36や37等の胸部支持装置モデル)を3Dプリント装置6がアクセス及びプリント可能な特定の3Dプリントデータに変換する。そして,出力モジュール59は,変換した3Dプリントデータを3Dプリント装置6に送信する。
【0058】 なお,上述したステップの順序は説明のためのものにすぎず,本発明の範囲を制限する主旨ではない。乳癌の放射線治療用補助具モデルの形成ステップは,状況に応じて各実施例内で変化させればよい。
【0059】 ステップS601において,3Dプリント装置6は3Dプリントデータ(胸部3D画像)を受信し,プリントする3Dプリントデータの構成を設定する。例えば,構成には,プリント過程や動作空間に関わる患者の身体的特徴パラメータ,姿勢及び位置が含まれる。
【0060】 一実施例において,共面である第1切断面220は,プリント過程開始時の3Dプリント装置6における動作空間の初期平面と一致している。この場合,第1切断面220から第2切断面230までを,3次元方式で乳癌の放射線治療用補助具(図10F)としてプリント可能である。また,3Dプリント装置6は自動的に複数の支持柱を追加可能であり,これら支持柱は初期平面と圧縮部211の外表面211sとの間に配置される。また,乳癌の放射線治療用補助具のプリント過程では基部212をプリント可能である。支持柱はプリント過程で圧縮部211と基部212を支持するためのものであり,乳癌の放射線治療用補助具の完成後に除去可能である。
【0061】 ステップS603において,3Dプリント装置6は,乳癌の放射線治療用補助具モデルに対応する3Dプリントデータに基づいて,乳癌の放射線治療用補助具のプリントを開始する。
【0062】 図10A~Gは,本発明の一実施例における図8記載のステップの各段階に対応して生成される乳癌の放射線治療用補助具モデルを示す。
【0063】 図10Aは,ステップS403(図8)で述べたスキャンされた3D画像情報に基づく女性患者の胸部の初期3Dモデル31を示す。
【0064】 図10Bは,3Dモデル生成モジュール53がステップS501(図8)で述べた3Dモデルデータに基づき生成する女性患者の胸部及び乳房32の3Dモデルを示す。3Dモデル32は,先端部261,底部262,圧縮部211及び基部212を含む。底部262と基部212の双方によって女性患者の胸部と一致する輪郭が形成される。また,圧縮部211と先端部261の双方によって女性患者の乳房と一致する輪郭が形成される。
【0065】 図10Cは,ステップS503(図8)で述べた前述の3Dモデル32から底部262,右乳房及び後胸部を除去した後の乳癌の放射線治療用補助具の初期3Dモデル33を示す。最終的に,乳癌の放射線治療用補助具の初期3Dモデル33は,基部212,圧縮部211及び先端部261のみを含むことになる。
【0066】 図10Dは,乳癌の放射線治療用補助具の初期3Dモデル33の基部212が更に処理されて形成された,より平滑化された乳癌の放射線治療用補助具の初期3Dモデル34を示している。
【0067】 図10Eは,硬化モジュール56(図7)がステップS505(図8)で述べた先端部261,圧縮部211及び基部212を硬化した後の硬化された乳癌の放射線治療用補助具の3Dモデル35を示す。
【0068】 図10Fは,ステップS507(図8)で述べた定義済みの移行領域350により先端部261を除去して形成される貫通孔(第1開口)を有する乳癌の放射線治療用補助具の3Dモデル36を示す。好ましい実施例において,先端部261は移行領域350と交わる平面に沿って除去される。切断平面は,3つの点351,352及び353により定義される。
【0069】 図10Gは,ステップS509(図8)で言及したような基部に固定ベルト孔222,223,224及び225が形成された乳癌の放射線治療用補助具の最終3Dモデル37を示す。
【0070】 以上述べたように,乳癌の放射線治療用補助具2aは図10に示すように3Dモデルで構成される。3Dモデルは,凹陥した内表面を有するカップの一部形状を形成するが,凹陥した内表面は女性患者が所定の姿勢(図9参照)をとった場合の乳房の輪郭と一致している。貫通孔(第1開口)はカップの一部を除去することで形成され,女性患者の乳房の一部が当該貫通孔(第1開口)に通される。
【0071】 図11A~図11Cは,本発明の一実施例において処理される乳癌の放射線治療用補助具の3Dモデルの断面図を示す。図11Aは,図10(E)で示す硬化した乳癌の放射線治療用補助具の3Dモデル35の横断面図である。図11Bは,図10(F)で示す貫通孔(第1開口)を有する乳癌の放射線治療用補助具の3Dモデル36の横断面図である。図11Cは,貫通孔(第1開口)を有する乳癌の放射線治療用補助具の3Dモデル36を線11C-11Cを通過する切断面からみた横断面図である。貫通孔(第1開口)を有する乳癌の放射線治療用補助具の3Dモデル36は,図10(E)に示すように,硬化した乳癌の放射線治療用補助具の3Dモデル35の一部(点線で区画した先端部261と称される部分)を除去することで形成される。貫通孔(第1開口)を有する乳癌の放射線治療用補助具の3Dモデル36は,軸方向(即ち,図11B~図11Cの方向Da)において定義される高さH1を有する。高さH1は,圧縮部211に対し軸方向Daに先端部261を加えた高さに等しい。また,除去された部分(即ち,先端部261)は軸方向Daにおいて定義される高さH2を有する。高さH2と高さH1の比は,略1/4以上である。
【0072】 切断平面Sに対する圧縮部211の下側について定義される角度θ1は,約80~170度の範囲とされる。また,角度θ2は切断平面Sの横方向側(腋窩線側2122寄りの側)に対する圧縮部211について定義され,当該角度θ2は約80~170度の範囲とされる。角度θ3は,切断平面Sに対する圧縮部211の上側について定義され,角度θ3は約80~170度の範囲とされる。図11B及び11Cの貫通孔(第1開口)を有する乳癌の放射線治療用補助具の3Dモデル36では,除去された部分(即ち,先端部261)を点線で示している。
【0073】 図12は,女性患者の心臓吸収線量を測定した折れ線グラフであり,女性患者が本発明における乳癌の放射線治療用補助具を装着した場合/していない場合に測定したデータを示す。折れ線グラフは,発明者が収集した実際の統計データを示している。これらのデータは,放射線治療を受けた女性乳癌患者の心臓吸収線量を収集したものである。4本の折れ線は,それぞれ4名の女性個体における心臓吸収線量を示している。各折れ線は2つのデータ点を有し,左側が放射線治療時に乳癌の放射線治療用補助具を何も装着しなかった場合の女性患者の心臓吸収線量,右側が放射線治療時に乳癌の放射線治療用補助具を装着した場合の同一女性の心臓吸収線量を示している。4本の折れ線から明らかなように,放射線治療時に胸部支持装置を装着した女性患者は,乳癌の放射線治療用補助具を装着しなかった患者に比べて心臓吸収線量が明らかに低かった,
【0074】 簡潔に述べると,本発明の実施例で提示した乳癌の放射線治療用補助具によれば,乳癌の放射線治療時に乳癌患者の健康な器官組織が放射線の照射を受けることのないよう効果的に保護される。このほか,本発明の実施例で述べた乳癌の放射線治療用補助具モデルを形成する方法及びシステムによれば,乳癌の放射線治療用補助具を容易且つ簡便に製造するための措置が提供される。
【0075】 以上は本発明の好ましい実施例である。当業者であれば,これらが本発明を説明するためのものであって,本発明が主張する権利範囲を限定するものではないことを理解し得る。なお,権利範囲については添付の特許請求の範囲及びこれと同等の分野により決定される。当業者が本件特許の主旨又は範囲を逸脱しない範囲で実施する変更及び追加は,いずれも本発明が開示する主旨のもとで完了される等価の変形又は設計に属し,後述の特許請求の範囲に含まれる。
【0076】 1 女性患者 11 乳房 12 心臓 13 肺 111 ターゲット領域 M 基準点 X1,X2 距離 2a 乳癌の放射線治療用補助具 Da 軸方向 21 カップ体 211 圧縮部 211s 圧縮部の外表面 212 基部 220s 環状表面 221 貫通孔(第1開口) 222,223,224,225 固定ベルト孔 231 第2開口 2121 胸骨側 2122 腋窩線側 2b 乳癌の放射線治療用補助具 226,227 滑り止め固定ベルト孔 230 第2切断面 241,242 補足固定ベルト 25 滑り止めベルト 2c 乳癌の放射線治療用補助具 220 第1切断面 31 金属-ナノ粒子層 2d 乳癌の放射線治療用補助具 32 放射線強化層 X3 距離 351,352,353 切断面を定義する点 5 モデル処理システム 51 処理モジュール 52 蓄積モジュール 53 3Dモデル生成モジュール 54 底部除去モジュール 55 先端部除去モジュール 56 硬化モジュール 57 滑り止めベルト孔形成モジュール 58 固定ベルト孔形成モジュール 59 出力モジュール 4 スキャン装置 S401,S403,S501,S503,S505,S507,S509,S511,S513,S601,S603 ステップ 6 3Dプリント装置 Y 垂直軸線 α 夾角 31 女性患者の胸部の初期3Dモデル 32 女性患者の胸部及び乳房の3Dモデル 261 先端部 262 底部 33 乳癌の放射線治療用補助具の初期モデル 34 平滑化又は形状修正された乳癌の放射線治療用補助具モデル 35 硬化した乳癌の放射線治療用補助具の3次元(3D)モデル 36 貫通孔(第1開口)を有する乳癌の放射線治療用補助具の3Dモデル 37 乳癌の放射線治療用補助具の最終3Dモデル S 切断平面 H1,H2 高さ |
縮圖尺寸
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